高齢のご家族の介護をしながら、日常の家事もこなさなければならない。そんな負担を感じている方は少なくないだろう。介護と家事の両立は心身ともに大きなストレスになり、介護者自身が体を壊してしまうケースも珍しくない。
介護保険のサービスだけでは家事の全てをカバーできないケースも多く、「家事代行と介護サービスを併用できるのか?」という疑問を持つ方が増えている。
この記事では、家事代行と介護サービスの違いを整理した上で、賢い併用方法と使い分けのポイントを具体的に解説する。

家事代行と介護サービスの違いを正しく理解する
家事代行サービスと介護保険の訪問介護サービスは、似ているようで全く別のものだ。まず基本的な違いを整理しよう。
- 家事代行:家事全般(掃除・料理・洗濯・買い物など)を代行する民間サービス。利用者の制限なく家庭全体の家事をサポート。全額自費
- 訪問介護(介護保険):要介護認定を受けた本人に対する身体介護(入浴・排泄・食事介助など)と生活援助(掃除・洗濯・調理など)。ケアプランに基づいて利用。1〜3割の自己負担
最も重要な違いは、介護保険のサービスは「要介護者本人限定」という点だ。例えば、要介護のご家族がいても、介護保険のヘルパーに「家族全員分の食事を作ってほしい」「家族の洗濯もお願いしたい」といった依頼はできない。あくまで要介護者本人の生活援助に限られる。
さらに、介護保険の生活援助で対応できるのは「本人の居室の掃除」「本人分の食事の調理」「本人分の洗濯」などに限られ、共有スペースの掃除や庭の手入れ、ペットの世話なども対象外だ。
一方、家事代行は家庭全体の家事を担ってくれるため、介護保険ではカバーできない範囲を補完する形で活用できる。この「補完関係」が、併用の最大のメリットだ。
家事代行と介護サービスを併用するメリット
介護保険ではカバーできない家事を補える
介護保険のヘルパーは、要介護者本人の生活に直結する家事のみが対象だ。リビングやキッチンなど共有スペースの掃除、家族全員分の食事作り、窓拭き、庭の手入れなどは介護保険の範囲外になる。
家事代行を併用すれば、こうした「介護保険の隙間」を埋めることができる。介護保険のヘルパーに本人のケアを任せつつ、家事代行で家庭全体の環境を整えるという使い分けが理想的だ。
介護者(家族)の負担を軽減できる
介護をしている家族は、介護そのものに加えて日常の家事もこなさなければならない。この二重の負担が介護疲れにつながり、最悪の場合、介護者自身が倒れてしまうこともある。
家事代行を利用することで、家事の負担を軽減し、介護に集中できる環境を整えられる。介護者自身の健康を守ることは、結果的に要介護者のためにもなる。
介護と家事の「線引き」が明確になる
介護保険のサービスと家事代行の役割分担を明確にすることで、それぞれのサービスを効率的に活用できるようになる。「介護保険のヘルパーにはこれを頼む」「家事代行にはこれを頼む」という線引きがはっきりしていると、無駄な重複もなくなる。
住環境の維持ができる
介護中はどうしても家事に手が回らなくなり、住環境が悪化しがちだ。家事代行で定期的に掃除をしてもらうことで、清潔で安全な住環境を維持できる。特に高齢者のいる家庭では、転倒防止のための整理整頓や衛生管理が重要だ。

具体的な併用パターン
実際にどのように併用するとよいか、具体的なパターンを紹介する。ご家庭の状況に合わせて、最適な組み合わせを見つけてほしい。
パターン1:介護保険+掃除代行
介護保険のヘルパーには要介護者本人の身体介護と居室の掃除を担当してもらい、家事代行にはリビング・キッチン・お風呂・トイレなど共有スペースの掃除を依頼するパターン。もっとも多い併用の形だ。
パターン2:介護保険+料理代行
介護保険のヘルパーには本人の食事介助を担当してもらい、家事代行には家族全員分の作り置き料理を依頼するパターン。週に1回の料理代行で5〜6品の作り置きを作ってもらえば、平日の食事の心配が大幅に減る。
パターン3:介護保険+買い物代行
介護をしていると外出が難しくなることが多い。家事代行の買い物代行を利用すれば、食材や日用品の調達をプロに任せられる。重い荷物を持つ必要もなくなるため、介護者の体の負担も軽減できる。
パターン4:介護保険+総合的な家事代行
掃除・料理・洗濯・買い物をまとめて依頼するパターン。費用は上がるが、介護に専念できる環境が整う。在宅介護の長期化が見込まれる場合は、このパターンが介護者の健康維持につながる。
介護対応の家事代行サービス
クラウドケア
家事代行と介護の両方に対応できる自費訪問介護サービスだ。介護資格を持つスタッフが対応するため、家事代行をしながら簡単な見守りや声かけも行ってくれる。「家事と介護を一人のスタッフにまとめて頼みたい」というニーズにぴったりだ。
イチロウ
介護保険外の訪問介護サービスで、家事代行と介護を柔軟に組み合わせたサービスを提供している。「介護保険だけでは足りない部分を自費で補完したい」という方に向いている。介護のプロが家事も担当してくれるため、安心感が高い。
ベアーズ
高齢者支援サービスも展開しており、家事代行と合わせて利用することで、介護中の家庭を総合的にサポートしてくれる。全国に拠点があるため、地方在住の方でも利用しやすい。
ダスキン メリーメイド
家事代行に加えて、掃除のプロとしてのノウハウを活かした高品質な清掃サービスが受けられる。高齢者のいるご家庭では衛生環境の維持が特に重要になるため、プロの掃除技術は心強い。

併用する際の注意点
- ケアマネージャーに相談する:介護保険のサービスとの調整が必要なため、まずは担当のケアマネージャーに家事代行の併用について相談しよう。ケアプランの見直しが必要になる場合もある
- スケジュールの調整:介護保険のヘルパーと家事代行のスタッフが同じ時間帯に来ないように調整する。同じ時間帯に二人来ると混乱するし、費用も無駄になる
- 費用の把握:介護保険サービスは1〜3割負担だが、家事代行は全額自費。月額費用を事前にシミュレーションしておく
- サービス内容の重複を避ける:介護保険で対応できることと家事代行で頼むことの線引きを明確にして、無駄な出費を防ぐ
- 情報の共有:介護保険のヘルパーと家事代行のスタッフの間で、要介護者の状態や注意事項を共有しておくとトラブルを防げる
費用の目安とシミュレーション
家事代行と介護サービスを併用した場合の費用目安をまとめた。
- 介護保険サービス:ケアプランに基づく自己負担(1〜3割)
- 家事代行(週1回2時間の定期利用):月額20,000円〜40,000円程度
- 介護対応型の家事代行(クラウドケアなど):1時間3,000円〜5,000円程度
シミュレーション例:週1回の掃除代行を追加する場合
CaSyで週1回2時間の掃除代行を利用する場合:
作業料金 2,790円 x 2時間 x 4回 = 22,320円/月
交通費等を含めると、月額約25,000円前後の追加費用となる。
この金額で共有スペースの掃除から解放されると考えれば、介護者の時間と体力を取り戻すための合理的な投資と言えるだろう。
よくある質問(Q&A)
Q. 介護保険のサービスと家事代行を同時に使っても問題ないですか?
A. 法律上は問題ない。ただし、介護保険の訪問介護と同じ時間帯に家事代行を利用すると混乱が生じるため、時間帯をずらして利用するのが望ましい。ケアマネージャーに相談するのがベストだ。
Q. 家事代行のスタッフに介護の手伝いは頼めますか?
A. 一般的な家事代行サービスのスタッフは介護資格を持っていないため、身体介護(入浴介助・排泄介助など)は依頼できない。介護も含めて対応してほしい場合は、クラウドケアやイチロウなど介護資格を持つスタッフがいるサービスを選ぼう。
Q. 家事代行の費用は介護費用として医療費控除の対象になりますか?
A. 一般的な家事代行の費用は医療費控除の対象にはならない。ただし、介護保険外の自費訪問介護サービスの中には、一定の条件で控除対象になるケースがある。詳細は税務署や税理士に確認してほしい。
Q. 家事代行と訪問介護のスタッフの連携はどうすればいいですか?
A. 両方のスタッフに「ノート」を用意して情報共有するのがおすすめだ。要介護者の体調変化や注意点、作業の引き継ぎ事項などを記録しておくと、スムーズに連携できる。ケアマネージャーにも情報を共有しておこう。

まとめ
家事代行と介護サービスの併用は、介護保険ではカバーできない家事を補い、介護者の負担を軽減する有効な方法だ。それぞれのサービスの役割を明確にし、ケアマネージャーと相談しながら上手に使い分けることがポイントになる。
介護をしながらの家事は心身ともに負担が大きい。一人で抱え込まず、利用できるサービスは積極的に活用して、無理のない介護生活を目指そう。介護者自身が健康であることが、何よりも大切だ。
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