家事代行サービスを利用するうえで、多くの方が心配するのが「もしスタッフに物を壊されたらどうなるの?」という点です。実際に、作業中にお皿を割ってしまったり、家具に傷がついたりするトラブルはゼロではありません。
ただし、こうしたリスクに備えて、多くの家事代行会社では損害賠償保険に加入しています。万が一のトラブルが起きた場合でも、適切な補償を受けられる仕組みが整っているケースがほとんどです。
この記事では、家事代行の損害補償の仕組み・実際のトラブル事例・トラブル発生時の正しい対処法・事前にできる予防策まで、網羅的に解説していきます。安心してサービスを利用するために、ぜひ知っておいてください。

家事代行の損害補償の仕組み
家事代行サービスにおける損害補償は、基本的に会社が加入している「損害賠償保険」によってカバーされます。その仕組みを詳しく見ていきましょう。
損害賠償保険とは
損害賠償保険は、スタッフが業務中に利用者の所有物を破損・汚損した場合に、その修理費や弁償費を保険金で補償する仕組みです。信頼できる家事代行会社のほとんどが、この保険に加入しています。
保険の加入費用は会社側が負担するため、利用者に追加費用が発生することはありません。
補償の対象となるもの
一般的に補償の対象となるのは以下のようなケースです。
- 掃除中に食器やグラスを割ってしまった
- 家具を移動させた際に床や壁に傷をつけた
- 洗濯物の取り扱いミスで衣類を損傷させた
- 掃除用洗剤で素材を変色させた
- 調理中に調理器具を破損させた
補償の対象外となるケース
一方で、以下のようなケースは補償対象外となることがあります。
- 経年劣化が原因と判断されるもの
- 事前に破損のリスクを告知されていたもの
- 利用者の過失が原因のもの
- 高額な美術品・骨董品(事前申告のないもの)
- データやソフトウェアなどの無形資産
補償の上限額は会社によって異なります。一般的には数百万円〜数千万円の範囲で設定されていますが、契約前に必ず確認しておきましょう。
派遣型とマッチング型で補償体制は異なる
家事代行サービスには大きく「派遣型」と「マッチング型」があり、それぞれ補償体制に違いがあります。
派遣型サービスの補償
ベアーズやダスキンなどの派遣型サービスでは、会社が直接雇用するスタッフが業務を行うため、トラブル時の責任は会社が負います。損害賠償保険も会社が一括で加入しており、補償体制が手厚い傾向にあります。
利用者はスタッフ個人ではなく会社に対して補償を請求するため、対応もスムーズです。
マッチング型サービスの補償
タスカジやCaSyなどのマッチング型では、スタッフは個人事業主としてプラットフォームに登録しています。この場合、補償の主体がプラットフォームなのかスタッフ個人なのかが重要なポイントになります。
大手マッチング型サービスではプラットフォーム側が損害賠償保険を用意しているケースが多いですが、補償の上限額や対象範囲は派遣型と異なることがあります。契約前に必ず確認しましょう。家事代行のトラブル全般の予防策については以下の記事で詳しくまとめています。

個人契約の場合は要注意
知人の紹介や個人間での家事代行契約の場合、損害賠償保険に加入していないケースがほとんどです。トラブルが発生した際に補償が受けられないリスクがあるため、個人契約は慎重に判断してください。


実際によくあるトラブル事例
家事代行で発生しやすいトラブルの具体例と、その対応パターンを紹介します。事前に知っておけば、いざという時に冷静に対処できます。
食器やグラスの破損
もっとも発生頻度が高いのが、洗い物や片付けの際に食器を割ってしまうケースです。一般的な食器であれば、保険で同等品の購入費用が補償されます。
ただし、高価なブランド食器や贈答品の場合は、補償額が市場価格とずれることがあるため注意が必要です。
床や壁への傷
掃除機のぶつかりや家具の移動時に、フローリングの傷や壁紙の剥がれが発生することがあります。軽微な傷であれば補修費用が補償されますが、大規模な修繕が必要な場合は保険の上限額との兼ね合いになります。
衣類の損傷
洗濯やアイロンがけで衣類を縮ませたり、変色させたりするケースもあります。特にデリケートな素材の衣類は取り扱いに注意が必要で、事前に「この服は手洗いのみ」「アイロン不可」といった情報を伝えておくことが重要です。
水漏れ・水回りのトラブル
掃除中に水栓の操作を誤り、水漏れが発生するケースもまれにあります。こうしたトラブルは被害が大きくなりやすいため、迅速な連絡と対応が求められます。
トラブル発生時は、破損した物や被害箇所の写真を必ず撮影してください。補償請求の際に証拠となります。
トラブル発生時の正しい対処法
万が一、物の破損や損害が発生した場合の正しい対処手順を確認しておきましょう。
ステップ1:被害状況を記録する
破損した物や被害箇所の写真を複数角度から撮影します。日時・状況もメモしておくと、後の補償手続きがスムーズです。
ステップ2:すぐにサービス会社に連絡する
被害に気づいたらできるだけ早く会社に連絡してください。時間が経つと「いつ・どの作業で発生した損害か」の特定が難しくなり、補償のハードルが上がることがあります。
ステップ3:補償手続きを進める
会社側が保険会社に連絡し、補償手続きを開始します。修理見積もりの取得や代替品の価格調査など、必要な書類の提出を求められることがあるので、会社の指示に従いましょう。
ステップ4:補償内容を確認・合意する
保険会社から補償内容(金額や対応方法)が提示されたら、内容を確認して合意します。納得できない場合は、会社の担当者に相談して交渉することも可能です。
示談・解決までの目安期間
一般的な破損トラブルであれば、連絡から解決まで1〜4週間程度が目安です。高額な物品や複雑なケースでは、もう少し時間がかかることもあります。


トラブルを未然に防ぐための予防策
補償制度があるとはいえ、そもそもトラブルが起きないのが一番です。利用者側でできる予防策をまとめます。
壊れやすいもの・高価なものは事前に伝える
ブランド食器、ガラス製品、高価な調度品などは、スタッフに事前に場所と注意点を伝えておきましょう。知らずに触ってしまうリスクを大幅に減らせます。
触ってほしくない場所を明確にする
書斎のデスク周り、子どものおもちゃの配置など、「ここは触らないでください」という箇所を明確にしておくと、不要なトラブルを防げます。メモや付箋で示しておくのも効果的です。
貴重品は見えない場所に保管する
現金、貴金属、重要書類などは金庫やロックのかかる引き出しにしまっておくのが基本です。スタッフの信頼性とは別に、トラブル防止の観点からお互いのためになります。
初回利用時は在宅で立ち会う
特に初回は在宅して立ち会い、スタッフの作業を確認するのがおすすめです。注意してほしい箇所や家の構造を直接伝えることで、以降のトラブルリスクが減ります。
信頼できるサービスを選ぶ
損害賠償保険に加入しているか、スタッフの研修体制が整っているか、トラブル時の対応窓口があるかなど、安全面の基準を満たしているサービスを選ぶことが最大の予防策です。
契約前に「損害賠償保険に加入していますか?」「補償の上限額はいくらですか?」の2つを必ず確認しましょう。この質問に明確に答えられない会社は避けたほうが安全です。
サービス選びで補償面をチェックする方法
家事代行サービスを選ぶ際に、補償体制をしっかり見極めるためのチェックリストを紹介します。
チェックリスト
- 損害賠償保険に加入しているか
- 補償の上限額はいくらか
- 補償対象の範囲は明確か
- トラブル発生時の連絡先は明示されているか
- 過去のトラブル対応事例を説明してもらえるか
- 個人情報の管理体制は整っているか
これらの項目に対して明確な回答が得られるサービスは、補償体制がしっかりしていると判断できます。サービス選びのポイントは以下の記事でも解説しています。



サービス契約に関するトラブルの相談先として、国民生活センターがあります。消費者ホットライン(188)に電話すれば、最寄りの相談窓口を案内してもらえます。また、消費者庁でもサービス契約の注意事項が公開されています。


よくある質問(Q&A)
Q. 家事代行スタッフが物を壊した場合、必ず補償してもらえる?
損害賠償保険に加入している会社であれば、保険の対象範囲内で補償されます。ただし、経年劣化によるものや事前に告知されていたリスクは対象外になることがあります。
Q. 高価な美術品を壊された場合の補償は?
一般的な損害賠償保険では、補償上限額が設定されています。高額な美術品や骨董品がある場合は、事前にスタッフに伝えて作業範囲から除外するか、別途保険で補償される条件を確認しましょう。
Q. 作業後しばらくしてから破損に気づいた場合は?
気づいた時点でできるだけ早く会社に連絡してください。時間が経つほど「いつ発生した損害か」の特定が難しくなるため、発見後すぐの連絡が鉄則です。
Q. スタッフに直接弁償を求めてもいい?
スタッフ個人に直接弁償を求めるのではなく、必ず会社を通して対応してください。派遣型サービスの場合はスタッフは会社の従業員であり、補償責任は会社側にあります。
Q. 補償に不満がある場合はどうすればいい?
まずは会社の担当者に交渉を試みましょう。それでも解決しない場合は、国民生活センター(消費者ホットライン188)に相談することで、第三者の立場からアドバイスを受けられます。
Q. マッチング型サービスでも補償は受けられる?
大手マッチング型サービスではプラットフォームが損害賠償保険を用意しているケースが多いです。ただし、補償の範囲や上限額は派遣型と異なることがあるため、利用前に確認しておくのが安全です。
まとめ:補償制度を理解して安心して家事代行を使おう
家事代行で物が壊されるリスクはゼロではありませんが、損害賠償保険に加入している信頼できるサービスを選べば、万が一の際にも適切な補償を受けられます。
トラブルを防ぐためには、壊れやすいものや高価なものの事前共有、触ってほしくない場所の明確化、初回の立ち会いといった予防策が有効です。そしてトラブルが発生した場合は、冷静に写真を撮影し、速やかに会社に連絡するのが正しい対処法です。
補償体制がしっかりしているサービスを選び、事前の対策をしっかり行えば、安心して家事代行を生活に取り入れることができます。厚生労働省の家事支援サービスに関する情報もあわせて参考にしてください。

